2013年9月28日土曜日

同級生

小学一年生の入学式、
僕の隣の席に座っていた美穂ちゃん。
小学、中学高校とずーと一緒だった。
大学は別別になったが、親友が俺を親友の彼女が美穂を誘って遊ぶ事が増え
いつしかお互いを意識するようになった。
気持ちを伝えたくても小学から一緒なのもあって照れ臭く、4人の日々が暫く続いた。
そんなある日、親友達の仲が突然破局。
もう、美穂と会えなくなるかと思ったら居ても立っても居られなく思い切って告白した。
あれから45年こんな日が来るとは思いも寄らなかった。
癌と診断されて3ヶ月あっけなくこの世を去ってしまった美穂。
「僕より先に逝くなよ」にいつも笑って頷いていた美穂。
笑顔で微笑む写真の君を見る度に頷く君の姿が浮かんで来る。
あの笑顔の頃より僕はどんどんおじいちゃんになってしまって 
今度君に会った時気づいてくれないのではと心配になるよ。
「随分老けたね」と笑って言ってくれるかな? 

2013年9月25日水曜日

結婚記念日

病院の待合室でウトウトしていた私の肩を叩く手に目を覚ますと主人の顔。
ビックリする私に主人が、
「そんな所でウトウトして風邪引くよ!電車が来たからさあ!行くよ。」
「何処へ?」
「何言ってるんだ!今日は、映画を見て美味しいフランス料理を食べる約束してただろう」
「映画?食事?」
不思議そうな私を心配そうに
「まだボケるには、早いぞ!」
と手を引き電車に乗る。
通勤ラッシュ前の車内は、ひっそりとしていて過ごしやすい陽気に
若い子たちの服装も軽やかでカラフルに揺れる。
あんな時期もあったのにと昔を振り返っていると、
主人が「今後は、ボウッとしてどうしたの?」と話しかけてきた。
「随分年をとってしまったな!と思ってたの」
「年をとっても君は、魅力的だよ」
主人は、いつでも私を褒めてくれる。
主人と一緒になって本当に幸せだと主人には、いつも感謝して止まない。
また、生まれ変わっても絶対主人と一緒になろうと思うくらい主人を愛していた。
揺れる電車にまた眠気を誘われた。
肩を叩かれ目を覚ますと看護師さんの顔。
「どうしました?」と問う看護師さんに
「何でもありません。」と告げた。
主人の夢に涙が零れそうになった。
今日は、主人との32 回目の結婚記念日の日だった。
帰り道を歩きながら空に向かってありがとうと呟いた。